小児歯科

乳歯が大事なわけ

乳歯はいずれ抜けてしまう歯、永久歯は長いお付き合いをする歯・・・という風に考えている方がいます。確かに表面上ではそのように映りますが、実は乳歯の健康と、永久歯の健康は切り離して考えることのできないものなのです。

乳歯の根の広がりの下には、後継者となる永久歯が育っていますが、万一乳歯がむし歯などに侵されると、その下の永久歯にまで少なからず影響が及ぶことになります。 それでは、乳歯のむし歯が永久歯にどんな影響を与えるのか、みていきましょう。

1. ①歯並びが悪くなる

   

   早い時期にむし歯などの原因によって乳歯を抜いた場合、そのまま放置しておくと、その隙間に周りの歯が寄ってきて、永久歯の生えるスペースを狭めてしまいます。それにより、永久歯の歯並びに乱れが生じ、噛み合わせが悪くなる（不正咬合）原因にもなります。

   また、乳歯の根は、生えかわりの時期になると、自然に溶けてゆきます。そして、乳歯が抜けたあと、永久歯が顔を出す仕組みになっているのです。けれども、乳歯がひどいむし歯などに侵食されていると根が溶けず、永久歯はその根を避けて、別の場所に顔を出さざるをえなくなり、これも歯並びを乱す原因となります。

2. ②永久歯の形成に悪影響を及ぼす

   乳歯がむし歯になったり、歯の根の先端が病気になると、永久歯の形成にも悪影響が及び、エナメル質や象牙質の形成が不完全な永久歯ができてしまうことがあります。

   このように、乳歯のむし歯は永久歯の生える環境や、永久歯の質自体も左右してしまうということがあるのです。ですから、乳歯の手入れをきちんとし、永久歯へバトンタッチをするまで健康な状態に保つことは、とても重要な意味を持っています。